コロナ禍から急速な経済成長へ向かうベトナム

※このコラムには、時事的な情報が含まれています。
このコラムは2022年10月に執筆しています。従って、執筆時点の情報に従って執筆されていることを前提にお読みください。

2020年9月 ベトナム ホーチミンより

2020年初頭から2022年夏までの2年半。

コロナ禍に大きく世界が揺れ、僕も日本国内から外に出ることが出来ませんでした。20代前半でアメリカの大学院に留学のために渡米して以来、これだけ長い期間、生まれ故郷の日本にとどまったのは、はじめての経験でした。

この間、グローバルな活動をドメインとするURVグローバルグループの各国の法人も、国際間の行き来を止め、各地域は、ローカルのビジネスに集中し、意思疎通は、Zoomによる会議やミーティング・カンファレンスで実施をしてきました。

僕が代表取締役を務める日本の企業では、この間、コロナ禍に対応したオフィス消毒事業を不動産事業デビジョンが立ち上げて躍進し、コロナ禍で流動化をはじめた人材を囲い込むモデル芸能事務所事業をエンターテイメント事業デビジョンが立ち上げるなど、日本のローカルビジネスでも大きく成長する事業の仕込みを行い、経営支援事業やマーケティング支援事業も、大きく事業規模を拡大しました。

こうして、コロナ禍に対応した事業を進めながら、僕は、コロナ禍からグローバルビジネスが正常に戻るタイミングを見計らってきました。

2022年5月。
僕は、URVグローバルグループ全体に、アフターコロナ体制に移行することを宣言し、中断していたグローバルプロジェクトを再開しました。

コロナ禍に危機的な影響を受けたインドでも、飲食六次化事業の根幹にあたる野菜工場の第2工場が稼働を開始。これに続き、飲食コンサルティング事業で、株式会社TJ TAKANO JAPANが、ベトナムに現地企業が開店する焼肉店の開業支援を開始しました。

2022年9月。僕の飲食事業の同盟軍の将軍である、TJ TAKANO JAPANの高野誠社長が開業に奮闘するベトナムのホーチミンに、僕は、コロナ禍明けではじめて入ったわけです。

このコラムは、ベトナム ホーチミンのアフターコロナの現状の最新情報としてお伝えする記事です。

政府の支援がなかったベトナムの飲食業が、アフターコロナで活性化した理由

日本では、緊急事態宣言の度に休業を余儀なくされた飲食業を中心に、大規模な支援金が配られました。また、業績を落とした企業については、持続化給付金や、事業復活支援金が配られました。

補助金も手厚くなり、低利の融資も緩和されました。

このような支援金や補助金、融資の緩和によって、多くの企業の維持ができ、雇用の継続も図られたことは事実です。

しかし、一方、これらの企業版ベーシックインカムともいうべき政策には、批判もありました。与党の政権安定のための「ばら撒き」であり、「ゾンビ化した企業」の延命策に用いられているというものです。

実際、日本では、世界がアフターコロナでの経済的な復活をしている2022年後半の段階でも、一向にコロナ禍から国民の意識が明けてきません。加えて、本来、事業の持続化のために行ったはずの支援が、その支援が切れた後から、飲食業を中心に廃業や休業が相次ぐという状態になっています。

コロナ禍の間、店を閉め、おそらくはかなり長期間にわたって、大きな支援金をえていたと推測させる飲食店が、最後の支援金になった事業復活支援金が配り終わった時期にあわせたように、店をたたむ、というような光景を目にして、首を傾げた人も、多いのではないでしょうか?

税金を数年間にわたり、事業を復活させる意思のない個人事業主にばらまいた結果になったのではないか、と思わざるをえない事例も、かなり見受けられました。

企業版ベーシックインカムが、確かに社会の安定と企業の維持に役立ったことは事実でしょうが、一方で、「実際には死んでしまっている店」が、ゾンビのように生きているふりをして、大きな支援金を受けとっていた、という結果になったと推測される件があったことも否定できません。

そして、その結果、多大な財政を出動したにもかかわらず、日本では、アフターコロナの経済活性化が、世界で最も遅れたことは、事実です。

非常に皮肉なことに、日本は、中国やベトナムよりも、ずっと社会主義的な政策をコロナ禍で行過ぎてしまい、その結果、修正資本主義国としての市場の活性化をはかれなくなったのではないか、と思わざるをえません。

一方、ベトナムは、社会主義国であるにもかかわらず、飲食業への企業の支援金給付は、ほとんどありませんでした。その結果、URVグローバルグループの現地担当者の目視の見解ではありますが、「大体、ホーチミン市の飲食店の30%が潰れた感じ」という結果になりました。

ゾンビ化せずに、体力がない事業者が潰れ、店の撤退が相次いだのです。

飲食業という業態は、日本でも世界でも、最も参入率と撤退率が高い産業です。
日本では、政治家が政権の安定と、秩序の安定を重視し、飲食業がテイクしたはずのリスクを政府が多大な財政出動によって補填する道を選びました。

一方、ベトナムは、飲食業がテイクしたリスクを自己責任として、事業者に負担させたのです。そのため、多くの事業者が潰れ、そこに、いち早く、新規の参入者が参入をはじめたのです。

政府の支援金に依存して生き残ったゾンビと、アフターコロナを投資機会と読んで新規参入をした事業者では、その活力の差は明白です。

かくして、今、ベトナムは、未曽有の新規事業者の開業ラッシュを迎え、人口構成の若さが後押しをして、強烈な経済成長がはじまりました。

GDP13.6%成長の威力

ベトナム統計総局が発表した2022年7月から9月のGDP成長率は、前年同期比で13.67%の成長と、驚異的な数値になりました。

対米輸出が大きく伸びたと同時に、内需では個人消費の飛躍的な回復が原因の一つになっています。

前年は、新型コロナ禍でマイナス成長を記録していましたが、いち早く、そこから脱却し、未曽有の成長軌道に戻っています。

ベトナムは国民の平均年齢が、31歳。
(日本は、超高齢化が進んでおり、国民平均年齢は48.6歳と、モナコについで世界第2位の高齢国になりました)

つまり、ベトナムは国民の半分が、31歳以下のZ世代が中心の国です。この豊富な若いパワーの賃金が、特にホーチミン市では、うなぎ上りにあがっているため、街に猛烈な活気と喧噪が、今、戻っています。

街中で、マスクをしているヒトは既にほとんどおらず、コロナの注意を呼びかけ続けるような人も、既にどこにもいません。

コロナ禍から急速な経済成長へ向かうベトナム

新たに開店した飲食業が、猛烈な営業キャンペーンをしかけ、そこに、賃金がどんどんあがる若者たちが溢れています。

日本のレベルとほぼ同様の、高級飲食店も続々開店しており、予約も、目いっぱいという状態です。

コロナ禍で、ベトナムは、当初、世界で最も低い感染状態にありましたが、その後、感染が一時広がり、都市が封鎖され、交通が遮断されました。社会主義国家であるにもかかわらず、それに対する国の国民への支援は十分ではありませんでした。

しかし、その状態がかえって、コロナからの復興を早めました。

アフターコロナでは、国民は大きく動き始め、コロナ前の活況をスピーディに取り戻しました。経済は、V字的に回復し、2022年10月現在、すでに、コロナの影は、この国にはありません。

本稿の著者

松本 尚典
URVグローバルグループ 最高経営責任者兼CEO
URV Global Mission Singapore PTE.LTD President

松本 尚典

  • 米国公認会計士
  • 総合旅行業務取扱管理者

米国での金融系コンサルタント業務を経験し、日本国内の大手企業の役員の歴任をえて、URVグローバルグループのホールディングス会社 株式会社URVプランニングサポーターズ(松本尚典が100%株主、代表取締役)を2015年に設立。
同社の100%子会社として、日本企業の海外進出支援事業・海外渡航総合サービス事業・総合商社事業・海外の飲食六次化事業を担う、URV Global Mission Singapore PTE.LTD(本社 シンガポール One Fullerton)を2018年12月に設立。
現在、シンガポールを東南アジアの拠点として、日本企業の視察・進出・貿易の支援を行う事業を率いている。
ベトナムのTPP参加による、飲食事業等・サービス業の規制緩和を受けて、ベトナムへの飲食事業進出・食材の貿易事業・ベトナム飲食事業進出コンサルティング事業・ベトナムビジネス視察支援事業のため、2021年9月にホーチミンオフィスを開設。

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