特集 腕白ざかりの国 カンボジア

アンコール朝によって栄えた「扶南」、すなわち、現在のカンホジアは、1863年から始まったフランス植民地時代をえて、1953年、独立国家としての現代史を歩みだしました。

このカンボジアに、その後、大きな試練が襲い掛かります。

一つは、隣国のベトナムで発生した、ソ連とアメリカの代理戦争ともいうべき、ベトナム戦争の戦線が、カンボジアに拡大し、泥沼の戦争に巻き込まれたこと。

カンボジアは荒れ、国土は大きく疲弊しました。

そして、その後の内戦終結の過程で、カンボジアは、ベトナムから大きく後れをとる、更なる大きな悲劇に巻き込まれます。政権を掌握したポル・ポト派が、極端な原始共産主義社会の建国を目指したのです。

ポル・ポト派による極端な政権は、3年8か月の短期間で終わりました。

しかし、その間に、ほとんどの知識人が虐殺され、教育機関は破壊されました。現代国家の礎となる教育というものが、カンボジアでは、この短期間のうちに、ほとんど破壊されてしまったのです。

1979年の、ベトナム軍の支援されたカンプチア救国民族統一戦線による、首都プノンペン解放から、40年以上がたった、今の、カンボジア。

アンコール遺跡群が世界遺産として保護されて、世界から観光客が訪れ、プノンペンにはフランス統治時代の面影と近代的なビルが並立する平和な時代が訪れました。

経済的な成長も著しく、既に、ポル・ポト時代の悪夢は、完全に過去の歴史となりつつあるように見えます。

しかし、僕たちが、外資系資本の企業として現地に向き合うと、隣国のベトナムと比較して、カンボジアにおけるビジネスの障壁は大きな壁として立ちはだかっているように感じます。

その障壁の根本は、「教育」ではないかと僕は思っています。

国際社会の支援によって、立派な学校が、多数、今のカンホジアにはあります。しかし、40年前に、知識人のほとんどが虐殺されたカンボジアには、圧倒的に教育者が不足しています。

教育の質が低く、教育者が不足していれば、その影響は、人口ピラミッドのボトム層に現れます。ボトム層に教育がいきわたらず、そこに経済成長が押し寄せますから、トップ層との格差は開くばかりで、ミドル層の育ちが遅れてしまいます。

これが、カンボジアの最大の課題だと僕は思っています。

犯罪率の高止まり、交通インフラの未整備、そして公務員の汚職の蔓延・・・。

ベトナムよりも、はるかにビジネスが難しい環境に、今のカンボジアはあると、正直、思っています。

しかし、だからこそ、カンボジアは、ベトナムやタイよりも、はるかに、日系を含む外資の投資が遅れているのです。タイやベトナムなど、コロナ禍前に、進出が過熱した国と異なり、ここには、大きなポテンシャルがまだあると、僕は思っています。

いわば、「腕白ざかりの、育ち盛りの国」。

日本のように、老化し、国全体が活力を失っているエリアとは、まったく異なる、「これから成長をしてゆく、楽しみな国」。

それが、カンボジアです。

「特集 腕白ざかりのカンボジア」では、コロナ禍後の有望なエリアとして、僕が注目する現在進行形のカンボジアに、僕が現地に入り、視察をしながら情報を集めていく、そのコンテンツを発信して参ります。

どうぞ、お楽しみに。

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