シンガポールの売春エリア ゲイランは、国家が管理する一大産業エリア
日本でも、カジノという産業を観光の武器にするという構想の是非は政治的に議論されている。カジノ賛成派は、自国民がそれを利用することを制限しつつも、カジノが持つ観光客の誘致による経済効果に着目する。
つまり、カジノという産業は、ある意味、インバウンド観光産業として位置付けられるのだ。
日本など、先進国の場合、このような議論はカジノ止まりになる。
しかし、シンガポールでは、更に先に進む。カジノがシンガポールの国家産業であり、観光の目玉になっていることまでは、広く知られているが、シンガポールでは、売春も国家の公認産業なのである。
金融センターとして外国資本を誘致し、美しい景観を作って観光客を呼び、カジノでも観光客を呼ぶ。そして、その極めつけが、男性の夜のお遊び、つまり売春を国家公認産業として管理し、外貨獲得源とする。
この徹底した戦略が、シンガポールの本当の姿なのだ。
筆者である、僕の立場と、夜遊び情報
初めに念を押しておこう。
この「ゲイラン」というエリアの単語をgoogleで検索すれば、多くの海外の夜遊び猛者の方々が、その情報を掲載したコンテンツを書いておられる。是非、ゲイランにて夜遊びを志す諸氏は、そちらの方々のコンテンツをお読みいただきたい。
この辻説法かわら版は、企業経営情報総合オウンドメディアで、その中の特集シンガポールは、あくまでも、経営者を読者に想定しながら、シンガポールという国家を紹介する目的のコンテンツである。売春やゲイランに関しても、産業という側面から、これを紹介してみたい。
また、僕は、僕が投資し経営するURVグローバルグループの、シンガポール現地法人 URV Global Mission Singapore PTE.LTD.の、ホールディングス会社の社長であり、グループの最高経営責任者の立場にある。
URV Global Mission Singapore PTE.LTD.の代表者は、五十嵐さんという女性でもあり、シンガポールの現地では、多くの女性スタッフが活躍しておられる。
URV Global Mission Singapore PTE.LTD. 五十嵐さんの紹介記事はこちら
こんな僕は、グループ企業の貴重な資金を使って、シンガポールに出張しているわけである。そして、仕事が終わった夜、いつもシンガポールで尽力してくれている五十嵐代表と素敵なシンガポールドリームを象徴するようなレストランでお食事を共にしながら、ビジネスの協議をしているわけである。その後で、僕が、独りで、ゲイランに通って、女の子を買って、遊んでます、などということが、そもそも立場的に言えるはずもない(笑)。
事実、ゲイランでは、僕は、食事以外の夜遊びをしたことは一度もない。
そんな僕が、多くの海外の夜遊び猛者の方々とゲイランの「隠れた情報」を競えるはずがないわけだ。
しかし、一方で、僕は、シンガポールという国や、そこでのビジネスに関して、観光で訪れる夜遊び猛者の方々よりも、圧倒的に、知り尽くしている。また、シンガポールで生活をする日系人や、中国人の部下からも、本音の話を聞くことができる立場にある。
そんな僕の立場から、このゲイランというエリアが、他の東南アジアの売春エリアとは、まったく異なる国家構想によって作られているという話を、ここで展開してみたい。
それは、シンガポールという国の、本当の姿。
素晴らしい戦略的国家の姿。
それを語る、よい素材になると思うのだ。
シンガポールの売春エリア ゲイラン
まずは、ゲイランというエリアの場所から確認をしておきたい。
シンガポールの中心地。観光客が訪れるシティホール(大体、僕は、シンガポールではこのエリアのホテルに宿泊をしている)から、地下鉄で数駅。アルジュニード駅から、南へ向かうと、徒歩5分ほどで、ゲイランロードにぶつかる。
このゲイランロード沿いに西へ進むと、突然、明らかに、普通のシンガポ-ルとは違った怪しい雰囲気の一角にぶつかる。
Lor 20 Geylang
この看板から向こう側が、いわゆる、ゲイランである。
緑が街に調和し、美しいタワーマンションと自然が共生するシンガポールの街並みから、突然、アジアのスラムのような雰囲気の、明らかに怪しいエリアに足を踏み込むことになる。
まず目に入るのは、格安のホーカーズ(シンガポール流の屋台のこと)。
中華系・インド系・イスラム系・タイ系など、格安の店が立ち並び、アジアのスラムの雰囲気を味わえる。
ホテルも、格安ホテルが並んでいる。
シティホールでは、ビジネスモテルでも一泊20,000円程度と、日本と比べても高い。しかし、ゲイランのホテルは、相場が、4,000円から6,000円程度と格安だ。
そして裏通りに入ると、そこには、売春をする女性を置いている置屋が、立ち並んでいる。
ゲイランのこの景色を、観光の人たちが眺めると、「ここが、シンガポールのスラムなのではないか?」と思うだろう。
通常、アジアのスラムの多くは、反社会的な勢力が仕切って、管理売春などが行われ、違法ドラックなどが闇売買されている。治安も、非常に危ない、
しかし、実は、ゲイランは、このようなアジアのスラムに、一見すると似ているが、全く性格が異なるのである。
まず、ゲイランの置屋は、すべてシンガポール国家の公認の認可のもとに置かれている。そして、そこで働く女性は、すべて、国家の登録を受けた、公認売春婦なのだ。
シンガポールは、覚醒剤や麻薬には、厳罰が適用される。したがって、ゲイランでは、違法ドラックは、絶対に手に入らないし、万が一、そんなものをシンガポールでやろうものなら、逮捕され、外国人にも極めて厳しい厳罰が適用され、日本には戻ってこれなくなる。
当然、ゲイランでも違法ドラックは販売されていない。売春は国家が管理し、ドラックもなければ、反社会的勢力にとって美味しい収益はない。その結果、ゲイランの治安は、本当によい。喧嘩も暴力も、まったくない。
働く女性の売春の対価は、すべて、人種ごとに決められている。これは、国家が公定した価格なのである。どこの店でも、料金が同じらしい(尚、この点は、僕は、伝聞情報で、実際に確認をしたわけではないので、あしからず)。
何故か、中華系の女性が一番高いというところが、中国人が支配階級を握るシンガポールらしい。
働いている女性は、シンガポール人は、ただの一人もいない(シンガポール国籍者が、ゲイランで売春をすることはない)。すべて、海外からシンガポールに出稼ぎにやってきている女性だ。
シンガポールに滞在する外国人は、エイズ検査が義務付けられている。これは、日系人も同様である。
そのため、ゲイランで働く女性たちも、厳重なエイズや性病検査が義務付けられている。エイズが発覚した場合、なんと、問答無用で国外追放となるのだ。
そのため、ゲイランで働く女性は、絶対に、性病が感染するリスクある行為を行わない。
そして、ここまで書くと、なんとなく想像をしていただけると思うが、彼女たちのサービスは、極めて、「公務員的」なのだそうだ。
僕自身、ゲイランを夜に散策して、格安ホーカーで、食事をしたことはあるが、それ以上の「お遊び」をしたことはない。
実は、僕がゲイランで遊んだことがない本当の理由は、僕が聖人君子のような経営者だからでも、女性が嫌いだからでも、ない。
多くの海外の夜遊び猛者の方々が、リアルにゲイランの情報を書いておられることに対して、誠に失礼ではあるが、実は、ゲイランというエリアは、東南アジアの歓楽街の中では、圧倒的に、悪さをしたい男にとっては、面白くないのだ。
完全に、観光客用に、アジアのスラムの危険な夜を、国家が演出した、疑似歓楽街なのである。
アジアで最も安全に、怪しい雰囲気を疑似体験できるエリアがゲイランである。
だから逆に、「面白くない」。
実は、僕が、ゲイランで、一切遊んだことがない理由は、そこを体験した男性諸氏の誰もが、「面白くない」と噂するのを聞いているからなのだ(笑)。
しかし、間違いなく、そこは、治安的に安全なのである。女性の一人散策でも、犯罪にあう可能性は、他の歓楽街やスラムから比較して格段に低い。
観光地だと思って、是非、夜のゲイランを訪れ、格安ホーカーで、アジアの雰囲気満載の怪しげな屋台で遊んでみていただきたい。
戦略的国家の強み
シンガポールは、中国のような共産党独裁国家ではないし、選挙も機能している。そして、リー・クアンユーとその意思を承継するリーダーによって、率いられている戦略的な国家である。
売春を行う女性を国家が管理する。このような制度は、その顧客を主に外国人に想定した観光産業のような色彩があるため、外資や海外からの観光収入をとりこむ戦略の一つになっている。
当然、近代的な人権尊重思想からは、批判を受けるものであって、他の先進諸国が行える政策では決してない。
アジアで国民一人当たりのGDPが最高という富裕国家が、もう一方の顏で、他のアジア諸国の女性たちを国家管理のもとで、売春を公認している、という、こういう国家だ。
したがって、アジア最大の金融センターとして、タックスヘイブンで、先進国の企業を呼び寄せる政策以上に、先進国から批判を受ける政策であろう。
このような批判をかわし、健全で優れた都市設計を目指すシンガポールでは、ゲイラン以外のエリアでは、子供たちの目に触れるような「いかがわしい」遊びを提供する雰囲気は、一切、存在しないのである。
砂漠の真ん中に忽然と存在するアメリカ合衆国のラスベガスや、あえて地下鉄の最寄り駅を一切作らずに周囲から隔絶させた日本の吉原と似て、それを更に徹底させたような構築発想で、ゲイランもまた、他のシンガポールのエリアから隔絶されて存在しているから、かろうじて成り立っているわけだ。
従って、例えば、シンガポールに住んでいる日系人の女性たちは、おそらく、このゲイランエリアを一度も目にしたことがない、というヒトも多い。ここに用のないシンガポール人や、子供からは、存在自体、知らさないエリアかもしれない。
その当否の価値判断は、ここでは論じないが、少なくとも、カジノや売春までも国家が戦略的に外貨獲得の手段として位置付けて、国民から批判を受けないのは、シンガポールという国自体が、普通の政策では、とても生き残れないほど、国土や人口・資源などが少ない国家であったからだろう。
仕事が終わり、シンガポールという国を知る素材の一つとして、僕は、深夜のゲイランエリアに、「お忍び」で足を運び、待ちゆく人たちや店を観察しながら、格安のホーカーで食事などをする。その中で、ここにもまた、シンガポールという戦略国家の一つの姿を学ぶことができると思っているのである。
続く
本稿の著者
URV Global Mission Singapore PTE.LTD President
松本 尚典
- 米国公認会計士
- 総合旅行業務取扱管理者
米国での金融系コンサルタント業務を経験し、日本国内の大手企業の役員の歴任を経て、URVグローバルグループのホールディングス会社 株式会社URVプランニングサポーターズ(松本尚典が100%株主、代表取締役)を2015年に設立。
同社の100%子会社として、日本企業の海外進出支援事業・海外渡航総合サービス事業・総合商社事業・海外の飲食六次化事業を担う、URV Global Mission Singapore PTE.LTD(本社 シンガポール One Fullerton)を2018年12月に設立。
現在、シンガポールを東南アジアの拠点として、日本企業の視察・進出・貿易の支援を行う事業を率いている。