グローバルなアフリカを正確に読み解くには、区分して分析する手法を使おう

あまりにも巨大なアフリカというエリア

アフリカ大陸の面積は、30,370,000k㎡。全地球の陸地面積の20.4%を占めている巨大な大陸です。

その巨大さは、超大国アメリカや中国をはるかにしのぎます。

この巨大なエリアが、21世紀の今後のビジネスの中で、極めて重要になってきます。一方で、このアフリカをビジネスの対象とするための情報は、日本でそう多くありません。

グローバルビジネスで、アフリカを無視していられる時代は、そう長くは続かない

アフリカに行ってビジネスの調査をしてみると、すべてのエリアでフランス資本と中国資本が圧倒的に強く、覇を競い合っており、日本資本は本当に弱体勢力です。

日本企業にとってアフリカは、東アジアや東南アジアから比較して、圧倒的に危険であり貧しく、したがって、ビジネスの対象にはならないという意識が多数です。

しかし、この発想は、完全に古い着眼点によるものです。

アフリカの人口は、先進国の人口が減り続けているのに対して、激増を続けており、2050年には24億6000万人、2100年には34億4000万人に達すると予測されています。2100年の世界では、世界の人口の30%がアフリカ大陸に暮らしていることになります。

日本は、22世紀に向けて、今の1億2000万人台の人口が、半減以下になると予測されています。一方、アフリカは、人口が22世紀に向けて増え続けると予測されています。

これは、遠い未来の話ではありません。今、日本で生まれた子供たちの、現役の時代に到来する未来像なのです。

人口が増大するアフリカに、巨大な中間層が住む市場が誕生するのか、巨大なカオスの世界が生み出されていくのかは、まだわかりません。

しかし、いずれにしても、我々はもはや、アフリカを無視してビジネスを進めることはできない時代に入ろうとしています。

アフリカを区分する

しかし、一言でアフリカといっても、それは巨大すぎます。

そこで、アフリカを見る重要な観点が、その区分にあると僕は思っています。アフリカは、人類の発祥の地であり、一方で、エジプトに代表される古代文明の発祥の地でもあります。

しかし、歴史的には、イスラム圏や欧米の発展から取り残され、奴隷貿易の狩場になった過去があることも事実です。

この多様な面を持つアフリカを、一つのエリアとみることはできません。

僕は、大きくアフリカを、北アフリカ、サブサハラ西エリア、そしてサブサハラ東エリアの区分するのがよいと思っています。ちなみに、アフリカ大陸の先端に位置する南アフリカは、サブサハラ西エリアに分類したほうがよいと思っています。

以下、このそれぞれのエリアを概観してみましょう。

北アフリカエリア

日本人が観光という意味でも、ビジネスでも、アフリカ大陸に足を踏み入れる最初の地点は、おそらくエジプトでしょう。

そして、欧州のヒトや企業が、エジプトと並んで最初にアフリカに入るのは、マグレブ3ヶ国と呼ばれる、チュニジア・アルジェリア・モロッコです。

エジプトやマグレブは、歴史的に欧米やアラブ中東の影響を受けてきたため、欧米や中東に文化も生活習慣も近く、「アフリカ入門」として最も適切な国だといえます。

特に、この中でも、チュニジアは古代ローマ時代、貿易国家カルタゴの栄えた国で、その後、古代ローマの植民地となりましたので、その文化は、ほぼイタリアです。

食文化も欧米的であり、地中海沿岸は、チュニジアンブルーと呼ばれる紺碧の海が広がり、欧米の富裕層の憧れの別荘地でもあります。

まず、アフリカに最初に足を踏み入れるのでしたら、エジプトやマグレブ3ヶ国がお勧めです。

僕も、20代のころエジプトに行ったのが、最初のアフリカ体験でした。

サブサハラ 西エリア

しかし、北アフリカを、アフリカだと思わないほうがよいでしょう。

アルジェリアの南に広がる世界最大の砂漠 サハラ砂漠の南側、つまり、サブサハラは、北アフリカとは、まったく異世界が広がります。

このサブサハラは、西と東でこれもまったく異世界です。

そこで、この特集では、サブサハラを、西と東のエリアに分けることにします。

サブサハラの世界で、日本人にとって、難攻不落の地は、なんといってもこの西エリアです。日本企業の進出はほとんどなく、外資は、中国企業とフランス企業が、その大半をしめています。

サブサハラには、アフリカ一の経済大国ナイジェリアがあり、南アフリカも含まれます。

この巨大な経済エリアを前にしても、日本企業が、ここの進出に二の足を踏むのは、ナイジェリアに展開するボコハラムを代表するテロリストの脅威があるからだと思います。

サブサハラ西エリアの国は、もともと民族国家として独立していたわけではありません。このエリアの宗主国は、主にフランスでしたが、フランスから独立をする時点で、人工的に国境線が定められ、国家の形態をとりました。

したがって、このエリアの国には、様々な民族と宗教が入り混じっています。そのため、民族間の紛争が起こりやすいわけです。

そして、何より、サブサハラの西エリアの根深い問題は、数百年間にわたって、欧米によって継続した奴隷問題が横たわっていることです。

「奴隷問題なんて、20世紀のはじめになくなった昔の話でしょう?」

アフリカを知らない日本人は、よくこんな呑気なことをいいます。

そういう方に、僕はよく申し上げるのですが、
「奴隷制というには、何百年の間、アフリカを苦しめてきたかということを知っているのですか?」
と、お聞きしたいわけなんです。

奴隷貿易というは、決して、欧米の海賊のような船がアフリカに乗り付けて、そこで狩りをするように、黒人の方を連れて帰って、強制労働をさせていた、というような生易しいものではありません。

サブサハラ西エリアで富と権力を握った王が、組織的に、自国の民を、欧米の奴隷商人たちに売り続け、莫大な富や武器を報酬として受け、その富と武器で、権力を握り続けた、というシステムで成り立っていた、ビジネスと権力維持が併存するモデルなのです。

特に、アフリカの黒人奴隷を最も大量に必要としたのは、農業国家であったアメリカ合衆国でした。アメリカの広大な国土を農園として開拓し、維持するために必要な大量な労働力を、ノーコストで得るために、莫大な数の黒人奴隷が、アフリカの西海岸から、大西洋を渡って、アメリカ合衆国に運ばれました。

アメリカ合衆国が、その非人道的なシステムから抜け出したのは、アメリカ北部にイギリスの産業革命の成果が押し寄せ、工業化したため、工業国家を目指す北部には黒人奴隷が必要でなくなり、農業国家を目指す南部に、南北戦争で勝利したためです。

この時代に至るまで、サブサハラ西の権力者は、自国の民を欧米の奴隷商人に売って、権力を維持し続けたのです。

この歴史が、国家権力に対する強烈な不信として、サブサハラ西に、今でも影を投げかけています。国家権力者は、今でも、欧米(最近では中国も含む)と癒着し、そこから賄賂を受け取って、不正と暴利をむさぼっているという意識が国民に根深く、そこに反米的なイスラム原理主義が入り込んでしまっているのが、西エリアなのです。

民族同士の根深い対立と、キリスト教の皮をかぶって、奴隷貿易を続けた欧米に対する強烈な嫌悪感、その意識をあおるイスラム原理主義。これが、複雑に絡み合ってしまっているのが、サブサハラ西エリアです。

外国資本としての僕らが、国の政治家や地元の大企業と連携して、このエリアに入ることの危険性がここにあります。この方法では、国民からあらゆる反発を受け、テロの標的にされるのが、目に見えています。

これが、アフリカサブサハラ西エリアの難しさなのだと、僕は思っています。

サブサハラ 東エリア

さて、欧米の奴隷制に苦しめられた西側と一変し、東側は、欧米とはあまり深い関係に立ちませんでした。大航海時代以降の商人が、喜望峰を回り、インドやアジアを目指したためです。

忌まわしい奴隷制の影響も受けておらず、観光大国である、ケニアやタンザニアもあります。

サブサハラ東は、中東の影響や文化を受け入れてきました。その中で、最も象徴的なのはエチオピアです。

エリオピアは、アフリカの国で唯一、欧米や中東の植民地とならず、歴史的に独立を維持しました。アフリカでは、唯一の国民国家といえるかもしれません。

現在、アフリカ連合(AU)の本部は、エチオピアの首都アジス・アベバに置かれています。

したがって、エチオピアをはじめケニア・タンザニアは、サブサハラの中で、圧倒的に西よりも進出がしやすい国であるといえましょう。

アフリカ入門者がウォッチすべき国は
エジプト・マグレブ・サブサハラ東

伝統的な宗主国であるフランスや中国が、アフリカに大きく進出をしており、日本企業は圧倒的に出遅れています。

しかし、エジプト・アグレブ3ヶ国、そしてエチオピアやケニア・タンザニアは、今後、日本企業がアフリカに入門する進出先として、非常に期待できると僕は考えています。

アフリカの人口増大は、今後、社会の安定を待って、莫大な数の中間層を生み出してゆくと、僕は期待しています。その数と増え方は、中国やインドをはるかにしのぐと思われます。

一方で、アフリカには、まだ基礎的な生活必需品や食料が不足しており、そこに中間層が増えれば、あらゆる商品が売れ始めるでしょう。そして、アフリカに住まうヒトの生活習慣も大きく変わっていくでしょう。

日本のビジネスマンや経営者は、ぜひこれから、エジプト・アグレブ3ヶ国、そしてエチオピアやケニア・タンザニアアフリカの入門する進出先を視察し、そこでどのようにビジネスを展開すべきなかを、じっくりと考えるべきではないでしょうか。

本稿の著者

松本 尚典
URVグローバルグループ 最高経営責任者兼CEO
株式会社URVプランニングサポーターズ 代表取締役
URV Global Mission Singapore PTE.LTD President

松本 尚典

  • 米国公認会計士
  • 通訳案内士(英語)
  • 総合旅行業務取扱管理者

日本の大手銀行系シンクタンクのコンサルタントをえて、社費留学で米国の大学院でMBAを取得。ニューヨーク ウォール街で、金融系コンサルタント業務を10年以上、経験する。この時代に、アフリカのチュニジアの当時の独裁政権との太いパイプを構築し、欧米の多くの企業の北アフリカ進出を支援する。

その後、日本に本拠を移し、日本国内の大手企業の役員の歴任をえて独立。

URVグローバルグループのホールディングス会社 株式会社URVプランニングサポーターズ(松本尚典が100%株主、代表取締役)を2015年に設立。2022年現在、URVグローバルグループ(グループ企業総売上高日本円換算約25億円) 最高経営責任者兼CEO。

2022年1月に、サウジアラビアの首都リヤドに、グループの中東・アフリカビジネスの中核拠点として、リヤド中東アフリカ戦略センターを開設。
北アフリカと、サブサハラ各国の情報を収集しながら、22世紀に、世界の30%の人口が集中すると予測される、アフリカ市場への進出戦略を睨んで動いている。

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