Vol.3 日本よりも深刻な「超・少子化」韓国人の、「産んではいけない」本音に迫る

韓国の少子化は、日本よりも深刻だ

日本は、世界の先進国の中でも、最も「少子高齢化」が進む国です。しかし、実は、「少子化」に限っていれば、韓国は、日本よりも更に少子化が急激に進んでいる国であるということを、日本では、あまり報道されていません。

韓国政府発表の、2023年の合計特殊出生率(一人の女性の数に対する、女性が生涯に産む子供の数の割合)は、0.72。これは、2022年における日本の合計特殊出生率1.26をはるかに下回っています。日本よりも遥かに、韓国社会は、深刻な少子化社会なのです。

韓国の少子化の原因

では、何故、韓国は、これほどまでの少子化国家になってしまったのでしょうか?

韓国の若者たちが、「子供をつくらない」志向にたち始めたのは、1997年のアジア通貨危機に端を発した不況からです。

タイのバーツの暴落の影響が広がり、韓国も大きな不況に陥りました。企業の多くが、労働者のリストラに走りましたが、一方で、サムソンをはじめとする財閥は非常に強い経営姿勢を貫きました。

その結果、勝ち組の極めて少数の強い企業と、圧倒的多数の弱い企業の間、従業員の格差が大きく開きました。

サムソンは、ソウル大学をはじめとする名門大学卒業生の就職が集中し、就職をしてきた社員には、過酷なスピ-ドある実績を求め、それを達成できない社員は、容赦なく、解雇をされるようになりました。

親は、子供に、勝ち組のサムソンに入るために、名門大学の過酷な受験競争を強いるようになり、就職後も勝ちぬけるために、他人を蹴落として勝つ、人生を強いるようになりました。


日本人の親は、子供に他人に迷惑をかけるな、と教え
中国人の親は、子供に他人に騙されるなと、と教え
韓国人の親は、子供に他人に負けるなと、教える

このような社会的な風潮を生みました。

名門大学を卒業して、財閥系企業に入れなかった若者は、恋人の親から、結婚を反対され、
女子大生は、財閥系企業の面接に好印象を与えるために整形を繰り返し、
子供が結婚をするときには、所有マンションを買い与えなければならない

これが、韓国の常識になっています。

若者は、受験と出世競争に疲れ、こんな思いを子供にはさせたくない、と考える傾向を生みました。

僕の知り合いのソウル市民の「産まない事情」と「本音」

実際、僕が仕事で接する韓国人たちと、本音で話をすると、上記のような一般論が、深刻に今の韓国人たちに影響を及ぼしていることがわかります。

ある財閥系の大企業に勤めるKさん。
彼は、ソウル在住の両親の期待を一身に背負って受験に勝ちぬき、ソウル大学を卒業後、財閥系の企業に就職しました。同じ会社内の女性と結婚し、両親に買ってもらった、江南(カンナム)のマンションに住まっています。

理想的な、韓国の成功者に見えます。しかし、彼は、仕事で来日し、僕が夜の会食の席に招待をして、僕と二人っきりになると、酒を呑んで、時々、本音を吐露します。


「韓国人は、今でも反日教育を受けて、受験の成功のために、その中身を受け入れます。しかし、実際、今の日本をよく知っている韓国人は、だれもが、韓国人ではなく、日本人に生まれればよかったと思っています。

韓国での成功は、受験でも、就職でも、仕事でも、一本道しかありません。他人を押しのけて、自分だけが勝つ道です。

しかし、日本人の成功は、非常に多様な道があります。勉強で勝てなくても、自分を活かす道がたくさんあり、競争をして他人を押しのけるよりも、日本人は、他人と協調して成功する道をたくさん持っています。

そういう、日本人と一緒に仕事をしていると、自分は日本人に生まれたかったと、つくづく思いますし、韓国で、子供をつくりたくないと、本当に感じるのです。

子供に、自分が背負ったのと同じストレスを受け続けていきる道を歩ませるくらいなら、子供をつくらないほうが、ましだと思っています。

私の周囲の韓国人は、多かれ少なかれ、私と同じような気持ちを持って生きています。」

彼は、別に親日派でもなんでもありませんが、冷静に自分の環境を直視しているのだと僕は思います。

内需が少なすぎる韓国の経済

韓国で、財閥企業が一人勝ちするのは、韓国の国内の内需が非常に小さく、韓国経済を支える活動が、外需に依存していることに理由があります。

海外に商品を展開するためには、大機規模な投資や、海外に通用する商品開発を行える大企業は有利となり、中小企業との間に、差が開いてしまいます。外需で勝負できる大企業、すなわち財閥系企業と、小さい内需だけをターゲットとする中小企業との間に、大きな賃金や待遇の格差が生じてしまいます。

この格差ゆえに、財閥系企業に就職できること、イコール、勝ち組、という韓国の風潮を生み出し、財閥系企業内での激しい生き残り競合や、財閥系企業に就職をするための極端な学歴社会を生み出し、財閥系企業のビジネスパーソンと女性が結婚するための、極端な整形美容志向を生み出してしまったのが、韓国社会です。

韓国は、持ちこたえられるのか?

このような極端な社会を悲観し、結婚や、出産をあきらめる若者が、日本よりもずっと多くなっている韓国経済の未来は、非常に厳しいと言わざるをえません。

僕は、韓国人のビジネス人脈も多く、韓国人の友人も多いのですが、彼らは、激しい競争と、勝ち組になる単一ルートを歩む人生を、苦しみながら、歩んでいるように、僕には見えます。

日本も、韓国も、若者に、多様な価値観のもとで生きることができる社会を造ってゆかなければ、未来は明るくありません。

続く

本稿の著者

松本 尚典
URVグローバルグループ 最高経営責任者兼CEO
株式会社URVグローバルミッション 代表取締役
URV Global Mission Singapore PTE.LTD President

松本 尚典

  • 米国公認会計士
  • 総合旅行業務取扱管理者

日本の大手メガバンクから社費留学で、米国の大学院に留学し、MBAを取得。
その後、ニューヨーク ウォール街で、金融系経営コンサルタントとして11年間、活躍する。米国公認会計士。

リーマンショックの前年、2007年に日本に本拠を移す。2007年から2017年まで、日本の大企業3社の役員を歴任。この時代に、自社と韓国の財閥系企業との事業アライアンス提携を構築する。
この本業の事業で培った韓国経済界との太いパイプを活用し、松本は、自身の副業でも、韓国企業との事業提携を幾つも創り上げ、大きな収益モデルに育てる。

松本が、現在、投資する企業グループ URVグローバルグループの前身の企業で、松本が副業として共同出資をした株式会社フリーティブパートナーズ(現在は、事業を株式会社URVプランニングサポーターズに譲渡)で、2011年3月にソウルオフィスを開設。このソウルオフィスでの事業は、現在、松本が投資する企業で構成するURVグローバルグループに引き継がれている。

現在も、ソウルに韓国人の部下とパートナーをかかえ、事業を展開する。

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