Vol.2 水産大国 韓国 ~ソウルの魚市場で、日本にない魚を仕入れて喰う~

焼肉やキムチだけが、韓国料理ではない

韓国へ出張に行き、現地のスタッフやパートナーと一緒に、韓国で3食の食事をしていると、「韓国料理」というものの深さがよくわかります。

日本で韓国料理の店に行くと、焼肉や、ビビンバ、そしてキムチと、大体、お決まりの料理が出されます。一方、日本に少ない韓国料理のお店で、韓国では非常に多いのが、魚の鍋や出す店や、お刺身を出す店。

何故、日本に少ないのかというと、おそらく、生ものである韓国産の魚は、日本に輸出ができにくく、日本になくて韓国にある魚の素材が、日本では仕入れられないからだと思います。

だから、是非、韓国へ旅行や出張へ行く方は、日本でも美味しい料理が食べられる焼肉や、ビビンバばかりを食べるのではなくて、韓国でしか食べられない独自のお魚を使った、鍋料理や、お刺身など、日本で食べられないものを食べてこられることをお勧めします。

「お刺身は、海外で食べると、あたるのでは?」
と、心配される日本人の方もおられるかもしれません。

大丈夫。
韓国は、東西南を海で囲われた水産大国。

お魚は、日本と同じ、とても新鮮な素材が使われていて、僕もずいぶん食べていますが、一度も、おなかを壊したようなことはありません。

韓国ソウルの魚市場

ソウルには、いくつかの水産市場がありますが、その中で、最も、日本人が行きやすいのが、鷺梁津(ノリャンジン)水産市場だと思います。

ソウル市内から、漢江を超えた永登浦(ヨンドゥンポ)エリアにあります。地下2階から6階までの大型の建物に、販売スペースや競りのスペースがあり、多くの食堂も入っている、「ソウルの豊洲」ともいえる市場です。

競りは、早朝に開かれるますので、ちょっとなかなか見に行くのは難しいですが、夕方にいっても、多くの店で、新鮮な魚を仕入れられます。

市場で仕入れた魚を、その場で料理してくれる店がある

さて、この市場でのお勧めの遊び方は、次のような感じ。

まず、市場の販売コーナーにいくと、たくさんの店から、韓国語で声をかけられます。ここで、品ぞろえが豊富で、価格交渉をしやすい店をえらびます。そこで、日本ではあまりみかけない魚を中心に、物色して、価格を交渉します。僕は、韓国語がまったく話せないため、現地の通訳の案内の方に通訳してもらって交渉します。英語がカタコト話せるヒトもたまにいますし、日本語が話せるヒトもいます。ただ、韓国語以外で交渉すると、ほとんど、ボラれますので、韓国語で交渉することをお勧めします。

魚を仕入れたら、これを刺身などの料理にしてくれる店(たくさんあります)に持ち込み、料理料金を支払って、料理にしてもらい、酒を買って、そこで、乾杯して、大いに喰います。

僕は、出張で、一人で通訳を伴っていったり、日本のお客様をお連れしたりして、このような感じで、市場で、魚を喰います。

ソウルの明洞で食べるより美味しく、かつ安く、たくさん食べられます。

韓国で、是非、食べてほしい魚

さて、韓国で魚を食べるなら、日本では食べられない魚を体験したいもの。

●イシモチ

最初にあげたいのが、「イシモチ」。

日本で飲食業を展開し、割烹日本料理店経営の経験もある僕でも、日本では、その名前を市場でみることはありませんね。

「イシモチ」は、通称、「白愚痴」(シログチ)とも呼ばれます。白い魚で、釣りあげたときに、「グーグー」と鳴くそうで、それで、愚痴を言っているように聞こえることから、「シログチ」と猟師の世界では呼ばれます。

韓国語では、チョギと呼ばれています。韓国では、チョギを塩漬けにしたものを、「クルビ」と呼び、チゲ鍋によく使われます。クルビは、韓国では高級魚として扱われ、贈答品としても、用いられます。ですので、クルビを使った鍋は、日本でいう、フグちりや、九会鍋のような高級鍋と似ていて、比較的、高い店で出されています。

一方で、鷺梁津(ノリャンジン)水産市場で買うと、充分、楽しめる金額でゲットできますので、お勧めです。

●エイのお刺身

ヒラメ・タイなど、日本でも食べられているお魚をお刺身にするのは、韓国でもよくあります。ただ、韓国では、日本のマグロやカツオがとれないため、韓国のお刺身の中心は、白身のお魚です。

一方、好き嫌いはありますが、日本でお刺身にしない魚で、韓国で好んで食べられるお魚に、エイがあります。

但し、エイは、アンモニア臭が強く、韓国人でも苦手な方も多いお魚です。ぜひ、韓国で、一度、エイのお刺身に挑戦してみていただきたいですね。日本人で、好きな方もいらっしゃいます。

●水ダコの踊り喰い

また、水ダコの踊り喰いは、韓国を代表する食べ物です。タコは、包丁で刻んでも生きていますので、お皿に乗ってきても、ぐにゃぐにゃ動いています。

そのため、日本ではそれを嫌って、タコは茹でて食べる習慣がありますが、それを韓国では、生で食べる習慣があり、それが、踊り喰いです。

生きて動いている水ダコを、特製の油につけて動きを抑え、食べます。

動きを抑制しないで食べると、吸盤が喉に張り付いて、息ができなくなる事故の原因になりますから、ご注意を!

ちなみに、僕は、この水ダコの活き喰いは、大好きです。

●ケブルのお刺身

鷺梁津(ノリャンジン)水産市場のいたるところで、水槽の中にいる、怪しい生き物が、ケブルです。

ケブルとは、「いぬのおちんちん」という意味。この日本語さえ覚えておけば、すぐに、それだと判ります。

このケブルのお刺身は、なかなか食べるには、その形から勇気がいりますが、食べてみると、普通の味で、そんなに美味しくも不味くもありません。

話のたねと、怪しい意味での、インスタ映えするので、是非、韓国でみかけたら、挑戦してみることをお勧めします。

明洞のお刺身を扱う韓国料理店の店先の水槽の中に飼われているケブルを、日本人の女子ツアーの女の子たちが、その姿をみて、キャーキャー言っているのを、よく見かけます。

韓国での朝飯は、ホテルのビッフェで食べずに、明洞や南大門に繰り出すのがお勧め

ソウルは、「食の都」です。

僕の場合、ソウルは、ビジネスでばかり訪問しており、日本人が好きな景福宮などの観光名所は、ほとんど前を素通りして、行ったことがないのですが、仕事の合間を利用して、あるいは、仕事の前後で、食べ歩き(僕の場合には「呑み歩き」も含みます)は、毎回、行っています。

そんななか、お勧めなのは、ソウルでの「朝ごはん」です。

明洞や南大門など、日本人が観光やビジネスで宿泊するホテルがあるエリアを、朝、散歩すると、地元の韓国人が食べる食堂が、あちこちにあります。これらの食堂は、日本語がまったく通じませんし、メニューは韓国語です。

ホテルの朝食は、ほとんど、ビッフェで世界のどこへいっても同じ料理ですし、とても高いわけです。一方で、ソウルの食堂は、ソウルでしか食べられない朝食が、とても安く提供されています。

多少汚い店舗に入っても、食事は衛生的です。しかも、キムチや、おかずが、無料で、どんどん出てくるのが、韓国流。

こういう店に、勇気を出して入ると、本当にソウルらしい体験ができるわけです。

仕事が始まる前の朝の時間。

僕は、早起きして、前の日に飲みすぎた身体でふらふらしながら、ソウルの街に繰り出して食堂に入り、たっぷり盛られたキムチと、選んだチゲなどのおかずで、ご飯を、むしゃむしゃかっこむと、仕事への気力が戻ってくるのです。

続く

本稿の著者

松本 尚典
URVグローバルグループ 最高経営責任者兼CEO
株式会社URVグローバルミッション 代表取締役
URV Global Mission Singapore PTE.LTD President

松本 尚典

  • 米国公認会計士
  • 総合旅行業務取扱管理者

日本の大手メガバンクから社費留学で、米国の大学院に留学し、MBAを取得。
その後、ニューヨーク ウォール街で、金融系経営コンサルタントとして11年間、活躍する。米国公認会計士。

リーマンショックの前年、2007年に日本に本拠を移す。2007年から2017年まで、日本の大企業3社の役員を歴任。この時代に、自社と韓国の財閥系企業との事業アライアンス提携を構築する。
この本業の事業で培った韓国経済界との太いパイプを活用し、松本は、自身の副業でも、韓国企業との事業提携を幾つも創り上げ、大きな収益モデルに育てる。

松本が、現在、投資する企業グループ URVグローバルグループの前身の企業で、松本が副業として共同出資をした株式会社フリーティブパートナーズ(現在は、事業を株式会社URVプランニングサポーターズに譲渡)で、2011年3月にソウルオフィスを開設。このソウルオフィスでの事業は、現在、松本が投資する企業で構成するURVグローバルグループに引き継がれている。

現在も、ソウルに韓国人の部下とパートナーをかかえ、事業を展開する。

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