経済大国インドネシアの存在感
この間、私、インドネシアのバリ島に旅行に行ったんです。それで、ちょっと興味が湧いて、「経済大国インドネシア」っていう本を読みました。
私にとって、インドネシアが「経済大国」って、とっても違和感があったのですが、インドネシアの成長は、物凄いらしいですね。この本を読んで、私の事業も、将来は、このような国を目指さなければならないのでは?と感じました。
そうよのう。あいりちゃんの世代の日本の事業家は、海外進出を抜きにしては、もう事業の将来像を描くことは不可能じゃろうね。
世界大手の会計系コンサルティング会社 PwCの調査レポート「2050年の世界」で、2050年段階の世界各国のGDPランキングは次のように予測されておる。
ランク | 国 | GDP予測値(10億ドル) |
---|---|---|
1位 | 中国 | 61,079 |
2位 | インド | 42,205 |
3位 | 米国 | 41,384 |
4位 | インドネシア | 12,210 |
5位 | ブラジル | 9,164 |
6位 | メキシコ | 8,014 |
7位 | 日本 | 7,914 |
8位 | ロシア | 7,575 |
9位 | ナイジェリア | 7,345 |
10位 | ドイツ | 6,338 |
この予測が正しいと仮定すれば、あと30年後、
日本は、ロシアや、アフリカのナイジェリアと並ぶレベルに経済力を低下させ、変わって、インドやインドネシアが経済大国に台頭してくるわけじゃ。
2050年時点では、日本の経済力は、中国の13%にしか過ぎなくなり、アジアの経済は、中国とインドネシアが大国として、米国・メキシコ・ブラジルの南米大陸国と競争をしている状態じゃな。
ヨーロッパは、ドイツがかろうじて10位にランキングされているにとどまり、最早、世界経済を率いる地位は、完全にアジアと、南北のアメリカ大陸に明け渡している状態じゃ。
この状態に向かい、世界は次の30年動くとみて、大勢は間違いないじゃろう。
インドネシアが「経済大国」と称されるのは、まさに、このような未来の世界経済勢力図の中で、非常に大きな成長株だからじゃ。
そうだとすると、私もインドネシアに会社を作らなきゃ。
いやいや。そうは簡単ではないのじゃよ。
インドネシアは、確かに将来の世界の経済大国じゃ。しかし、現時点では、「新興国」に過ぎない。とりわけ、インドネシアは新興国に特有の外資規制が、非常に厳しい国じゃ。
新興国というのは、日本のような先進国と異なり、国内経済を守らなければならない状態にあるため、外国企業や外国人が参入するにあたり、「ネガティブリスト」が多数存在する。会社法規制や税制の規制が激しいのじゃ。
勿論、労働や事業を行うためのビザ取得も、非常に難しい。
だから、将来性があるからと言って、外国企業が簡単に、そこで会社を作り、ビジネスができるわけではないのじゃ。
これを見誤ると、大変な間違いを犯すことになる。これが、海外進出を考えるときの鉄則じゃ。
結論から言うと、インドネシアは、2019年時点でいえば、相当な資本力と人的な力がある大企業の進出先であり、中小企業にとっては、なかなか難易度が高い地域じゃな。
そうなんですね。
私たちのような零細な中小企業は、将来性のあるマーケットに進出する方法はないのでしょうか?
いや。そんなことはない。
インドネシアがだめでも、その周辺国には、中小企業が比較的簡単に進出ができる国がある。
ASEAN経済圏という言葉を知っておるじゃろ?
はい。よく、新聞で見ます。
東南アジア諸国連合じゃ。
このASEAN経済圏は、アジア版EUじゃ。加盟国には、モノとヒトの動きが、自由なのじゃ。だから、インドネシアに、一定の貿易を行い、販売を行う場合、ASEAN加盟国の一定の国に現地法人を立ち上げ、そこからインドネシアの現地企業と提携し、商売をする方法もある。
なるほど、なるほど。
ASEAN諸国の力 その1「人口ピラミッド」
ASEAN諸国は、日本企業から観て、非常に魅力のある国が多いのじゃ。
その魅力の第一は、人口ピラミッドが理想的な状態にあること。

ASEANと日本の年齢別人口構成比(2015)
人口ピラミッドとは、各国の年齢別人口構成数を、横線の棒グラフにした図じゃ。
日本のGDPが示す経済力が、今後、低下をする最大の要因は、この人口ピラミッドが示す労働人口の減少にある。
日本は、急速な労働者人口の、非労働者人口に対する割合の、低下が進んでいる。こうなると、労働人口が養う非労働人口の割合が高くなり、結果的に消費が抑制される。つまり、日本は、企業がよい商品やサービスを生産する力がいくら高くても、それが「売れない」国になっていくということじゃな。
一方、ASEAN経済圏の各国は、非常に理想的な人口構成状態にある。つまり、モノが売れやすいということじゃ。
日本も、かって、1980年代には、この人口ピラミッドが理想の状態にあった。この時期が、バブル経済の時期と重なるわけで、ASEANは今、まさに、その状態にあるわけじゃ。
ASEAN諸国の力 その2「中国からの生産シフト」
アメリカ合衆国は、2019年時点では、世界のGDP最大の国にして、基軸通貨ドルを発行する権限を有する大国じゃ。
そのアメリカが、今後、GDPの順位を下げてゆくと予想される。その強敵が、将来の世界最大の経済大国になると予想される中国じゃ。
中国は、インドと異なり、共産党一党独裁国家であり、民主主義国家ではない。しかも、その法制度や国家戦略には、アメリカが脅威を覚える様々なリスクがある。
そのため、アメリカは、今後も、中国を貿易上で関税等の制裁の対象にし続ける動きが続くと予測される。
そのため、対米輸出企業は、中国から、生産拠点を移動しつつあるのじゃよ。
その大きな候補地が、ASEAN諸国じゃ。
現在は、タイ・べトナム。
将来的には、ミヤンマー・カンボジアなども、その有望国になるじゃろう。
インドや、インドネシアに輸出がしやすいということも、大きな魅力となり、今後、ASEANは、「世界の工場 中国」の継承者となると予想される。
ASEAN諸国の力 その3「貿易と金融の要衝」
ヨーロッパの大航海時代から、ASEAN諸国は、ポルトガル・オランダ・英国・フランスなどの欧米列強の、アジア貿易の中継拠点として発展した。
ポルトガルの拠点 マラッカ(マレーシア)、英国の拠点 シンガポールなどが、その代表選手じゃな。
ここから、21世紀において、例えば、シンガポールは、アジア最大の金融センターに発展した。
そして、今後、中国とインド・インドネシアを繋ぐ物流の基地として、ASEAN諸国の重要性は、その地理的な位置からも、極めて重要じゃ。
とてもよくわかりました。
私も、事業の重要な拠点として、ASEANの国々を勉強し、訪問したいと思います。
- 実現を支援するサービス
- ビジネス現場からのリポート
シンガポールで日本企業のASEAN進出と貿易事業を支援する
URV Global Mission Singpore PTE.LTD. President 五十嵐 歩

このシンガポールで、主に日本企業の進出と、貿易による販売の拠点を担うのが、URVグローバルミッション・シンガポール社だ。
その社長は、フランス人のご主人と結婚し、3児の母として育児をこなしながら、シンガポールと日本の間を飛び回る、凄腕の女性らしい。ということで、URVグローバルミッション・シンガポールの本社が入る、シンガポールのワンフラトンのスターバックスカフェで、五十嵐社長にインタビューした。
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リーダーシップとone nation From シンガポール
URVグローバルグループ シンガポール勤務通訳スタッフ Y.K.様

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