台湾というエリアを中国側の視点にたって、考えてみよう

グローバルな視点を持つためには、多角的に国際情勢を観る視点が不可欠です

世界の紛争や、外交、グローバルビジネス。
更に、貧困やエネルギー、食糧などの難問。

このような問題をグローバルな視点から考えることは、海外で仕事を進め、更に海外で事業を展開するには、不可欠です。

このようなグローバルな視点を持つためには、単に自分や自分の国からみた単一的な視点からではなく、多角的な観点から国際情勢を観る視点が不可欠になります。

日本の立場からだけものをみたり、民族や宗教の視点を考えずに、自分の価値観だけからものごとをみれば、国際情勢は、理解不能なことばかりになってしまい、その結果、外国人や海外企業との共通の視点を失い、視野狭窄に陥って、自らの可能性を、自ら狭めてしまうことになります。

台湾と中国の問題を、日本や日本人の視点からみてしまうと、台湾は「かわいそうな弱小国」で、中国は、「単なる悪者」のようにみえてしまいます。

このような視点だけでみていたのでは、グローバルな視点は養えません。

そこで、ここでは、日本では、ほとんど誰も書いてない、中国側からの視点に立って、台湾というエリアを観てみたいと思います。

中国の持つ弱点 海洋

結論から申し上げると、中国の立場に立つと、中国が今後、パワーを上げていく限り、絶対に、台湾を自国の領土として諦めることはない、という結論が出てきます。

中国にとって、台湾は、絶対に不可欠なエリアなのであって、台湾を現状のまま、半独立国家的な位置づけで放置することは戦略上、ありえないことなのです。

中国は、今、あらゆる分野の国力を全方位的に伸ばし、アメリカを抜いて世界の最強国になることを目指しています。

中国は清王朝崩壊以来、欧米列強や日本から屈辱的ともいえる大敗を強いられてきました。

中国四千年」という表現は、盛り盛りの歴史的な加重表現だとしても、少なくとも、漢帝国樹立以来、中国は、2000年以上にわたり、まさに、世界の「中華」であったと自負していた大国でした。この大国であった中国が、近年の大敗を乗り越えて、今一度、彼らのナショナリズムに立った自信を取り戻している以上、彼らが目指しているものは、新興国家であるアメリカを抜ききった「中華」の再生であることは間違いないでしょう。

このような悲願ともいえる大業を、腐敗を一掃して成し遂げようとしている集近平体制は、少なくとも、中国共産党一党支配下の中国で、絶大な支持をえていることは間違いありません。

さて、このような大業に向かっている中国にも、大きな弱点があります。その中国の大きな弱点はなんでしょうか?

日本では、中国の人口減少問題が、中国の弱点としてよく取り上げられます。これも、中国の弱点になりえる問題の一つです。

しかし、中国には、大国を目指すうえで、もっと大きな問題があります。

それは、「海」です。海のチカラが弱いことこそ、人口問題以上に、中国の弱点なのです。

中国の国土面積は、約960万平方キロメートルで、世界第4位の大国です。日本と比較しても、非常に広大な国土を持っています。

しかし、領海と排他的経済水域(EEZ)を加えた水域面積は、中国自身の発表(これは相当盛っている数字です)でも、300万平方キロメートル。世界10位にも入りません。水域体積(海底面積×海底から海面までの平均距離)も、これもまた、世界10位にも入りません。

日本は、国土は小さい国ですが、実は、水域体積で、世界第4位の海洋大国です。日本人は、自国を「小国」だと思っていますが、それは陸の国土のことです。

海に囲まれる島国であり、かつ、太平洋の深い海を排他的経済水域に持つ日本は、世界でも有数の「海洋大国」です。

中国は、この水域体積で、国土の小さい日本に、はるかに及ばない国なのです。

ここに、中国自身も自覚する弱点があります。

中国が主張する南シナ海の九段線と、尖閣諸島、台湾の領有問題は、この中国の水域面積と水域体積を確保する上で、重要な政策なのです。九段線を加えた水域で、この中国の主張をそのまま計算すると、総水域面積は、587万平方キロメートルとなり、世界第5位に上昇します。そのうえで、中国は、島国である台湾、そして更には、日本を領土として戦略的に狙っています。

台湾は、中国の弱点を補うエリアになっている

水域面積で、台湾は島邦であるため、大きな水域面積と体積を有しますので、中国は、まず、歴史的にも領土として主張しやすい台湾を求めているわけです。

それだけではありません。

中国は、台湾を領有することで、日本・台湾・フィリピン・インドネシアと連なっている各国の領海によって閉ざされていた太平洋への出口が、ぽっかりと開くのです。

太平洋は、アメリカをはじめ、欧米諸国や日本が利権を持つ広大な海域です。ここに、利権を広げて乗り出すことが、中国が「中華」再生を目指す場合、不可欠なのです。

台湾は、海洋に弱いという中国の弱点を補う地理的条件を満たしており、そのため、中国が台湾を諦めることは、まずないと言わなければなりません。

中露の同盟的な関係が、台湾だけでなく、日本の運命も決める

ロシアのウクライナ侵攻は、ロシアという国が、凍土にとって覆われているという弱点から脱却するため、不凍港を求める必要性から、避けて通れない歴史の必然でした。

これと同じように、台湾もまた、中国が海洋に弱いという点から脱却するため、避けられない歴史の必然と考える必要があります。

日米韓同盟や、NATO北大西洋条約機構との連携、そして日本の防衛力を総動員し、この中国の真意に日本は、対抗し続けなければなりません。日本の外交力と防衛力が、中国の人民解放軍との軍事的バランスを失えば、中国は、海洋に弱いという弱点を補うため、海洋に強い日本への侵略を企む可能性すら、将来的には否定できないのです。

一方、このような中国との軍事的バランスにとって、今後、最も重要な注意ポイントが、中露の軍事的関係がどうなるか、ということです。

ロシアのウクライナ侵攻を戦略的な配慮なしに、感情論にたって批判し、ロシアを強力な制裁で追い込むことは、中露同盟の強化という、日本にとっての悪夢を生み出しかねません。

歴史的に、中国とロシア(その前身のソ連)は、決して親しい関係ではありませんでした。

中国共産党と、ソ連は、多くの局面で対立し、しかも、現代の中露の関係は、長い国境線で、大きな緊張関係にたっています。

従って、中露の強固な同盟が簡単に成り立つわけではありません。

しかし、一方で、中国とロシアは、欧米諸国に対して、それと敵対的な関係に立つという共通に利害関係を共有しています。

従って、日本は、アメリカ・欧州・インド・サウジアラビアなどとの外交関係を強化して、外交的に中国やロシアを牽制し、安全保障面では、中国とロシアを想定した防備を強化しつつも、経済的には、中国・ロシアと、一定の親近関係を取り続けるという多角的な立場を取り続けることが適切です。

ビジネスの世界では、中国やロシアは、決して日本の敵ではありません。台湾問題は、日本にとって、台湾と中国という、双方ともに重要な関係に立つ国であることを認識し、どちらか一方に肩入れをしすぎないように、一定の距離を保つ必要があります。

ビジネスの世界では、台湾も、中国も、ロシアも、共に重視した関係を構築してゆくべきです。このようなスタンスに立って、僕はビジネスに対するスタンスを決めています。

続く

本稿の著者

松本 尚典
URVグローバルグループ 最高経営責任者兼CEO
URV Global Mission Singapore PTE.LTD President

松本 尚典

  • 米国公認会計士
  • 総合旅行業務取扱管理者

米国での金融系コンサルタント業務を経験し、日本国内の大手企業の役員の歴任をえて、URVグローバルグループのホールディングス会社 株式会社URVプランニングサポーターズ(松本尚典が100%株主、代表取締役)を2015年に設立。
同社の100%子会社として、日本企業の海外進出支援事業・海外渡航総合サービス事業・総合商社事業・海外の飲食六次化事業を担う、URV Global Mission Singapore PTE.LTD(本社 シンガポール One Fullerton)を2018年12月に設立。
現在、シンガポールを東南アジアの拠点として、日本企業の視察・進出・貿易の支援を行う事業を率いている。
中国香港の尖沙咀に、株式会社URVプランニングサポーターズの香港支店を展開すると共に、中国本土の上海にグループオフィスを構え、更に、台湾の台北に、台北オフィスを展開し、中国の経済界や政界との強いパイプを、多面的に維持している。

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